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オフィス街には午前の緩やかな日差しと、ビルから漏れてきそうな慌ただしい気配が満ち溢れている。
「もう限界だ」
ブツブツとうわ言のように繰り返す私を、すれ違う人達が怪訝な顔で盗み見る。
私の中に残った僅かな常識という概念が、今の私が相当おかしい人物に見えるだろうなと他人事のように認識した。
私が一歩踏み出すたびに、両耳からポロポロとなにかがこぼれ落ちる。
なんだろう、落ちたものに目をやると見たこともないような薄いピンクの固まり
不思議に思い、こぼれ落ちたソレをつまみ持ち上げてみると、
豆粒ほどのブニョブニョした感触
ああそうか
きっとこれは私の脳なんだ。
こんなものが、こぼれ落ちるわけないからきっと私はおかしくなってしまったのだろう。
プチュン、
意識のうちに握り潰した私の脳が弾ける音を聞いて私の意識は急速に暗転した。
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