『白鳥啓介』

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「おはようございます。」 ふいに声をかけられ、目を向けると白衣に身を包んだ優しげな青年が私を見詰めていた。 「白鳥さん、気分はどうですか?」 「ええと……大丈夫です……あの、どなたですか?」 私からすればごく当然のことなのだが、目の前にいるこの青年が誰なのか私は知らない。 青年はやんわりと言葉を選ぶようにゆっくりと語った。 「僕は大神と申します、白鳥さんの主治医です。よろしくお願いしますね。」 「主治医、ですか……。」 「白鳥さんはストレスで倒れられたんですよ。お仕事、頑張りすぎたんですね。ご家族の方からお話は聞いてます。今はゆっくり体を治していきましょう。」 柔らかい微笑みで大神、先生……?は私に語りかけてくれた。 病室のようだとは思っていたが、やはりここは病院なのか。私が周囲をキョロキョロと眺めていることに気付いた大神先生はさらに言葉を続けた。
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