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『ならこの姿の方がいいかしらね、ほらシナモンも』
面倒くさそうにシナモンは『はいはい』と頷き、ぼそりと呟く。私は目を瞑って小さく言葉を唱えた。
唱え終わると、私達は瞳の色は異なる人型のミックスツインズになる。
ミスティは小さく息を呑んで口に手を当てた。相当びっくりしたのか、目は見開いたままで、瞬きも忘れているらしい。
「ミスティ瞬きと息をした方が良いと思うわ」
「ばっか、ミスティは俺に見とれてんだよ」
「そんなわけあるわけないでしょ、私によ」
「なんでだよ!」
「二人ともお客さんの前だよ」
私とシナモンは、周の一言に肩を竦めて静かになる。
「驚かせて申し訳ありません、この双子はシュガーとシナモンといって、僕のアシスタントです。少々騒ぎすぎるところがありますが」
きっとミスティが訊きたいのはそんな事じゃないだろうけど、周はそのヘーゼル色の瞳でミスティを見つめる。そうすると、ミスティは頭に浮かんだ様々な疑問もすんなりと受け入れてしまう。
周の瞳には不思議な力がある。だから普段周は誰かと目を合わせないようにしている。
「瞳の色が違うのね、でも二人に見とれたのよ。二人ともとても綺麗だから」
ミスティはそう私たちに笑いかける。
「忘れたい想い出を聞かせて頂けますか」
周の言葉にミスティは覚悟を決めたように少しだけ息を吸ってから返事をした。
「はい」
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