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暗黒に火線が走った。破裂音に火薬の花弁を咲かせる。銃口から吐き出された銃弾が対象へと飲み込まれる。対象の断末魔とともに静寂が訪れた。
「・・・完了」
不調気味の電柱が乱調に死を導いた人物を映し出す。拳銃に蹴られた右腕に軽い痺れを覚えながらも、その瞳に命を奪った事への感情はない。光すら見出せない黒色の瞳。少年は空を見上げた。
まばらながらもその存在を主張する星々。中国では古来星に人々自身を重ねたという。何故このことを思い出したのかはわからないが、少年自身わかっているのはこの空に自分の星がないということだ。
「斬、終わった?」
「はいマスター、先程駆逐を完了しました」
耳に手をやると少年にとって絶対にして完全の主の声が聞こえる。第七機関に支給されたインカムが正常に稼働していた。
『それにしてもちゃんと繋がるのねこれ。飛鳥もたまにはいい発明するわ』
「お言葉ですが携帯にもタブレット型が主流の今、ただの通信デバイスでは?実際これに準ずる代物は以前からあったようですし」
『違う、違うのよ斬。二回軽く叩いてみなさい』
「はいマスター」
何を疑うこともなく即座に実行。少年にとって命令は絶対である。
「……これは」
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