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ピピピ…
ジリリリ…
プププ…
ブーーブーー…
カッコウカッコウ…
僕の耳元で奴等が自分の自慢の音色を誇示するかのように競いあっている。
いつもは雑音にしか聞こえないこの音が今日は交響曲にすら聞こえた。
僕は冷静に耳を傾けた。
同時に各々が雄叫びをあげている。
なるほど。
各々が何と叫んでいるのかわかった気がした。
僕は聖徳太子の生まれ変わりに違いない。
そういえば昔の一万円札は聖徳太子だったと親父が言ってたな……。
そうか
僕もゆくゆくは一万円札になるかもしれない。
僕が一枚
二枚
……
十枚
……
丁度、僕の給料に達した瞬間
【θΩσξψωφμδδζζζ】
いきなり轟音が耳元を襲い僕は飛び起きた。
またこいつに助けられた。
中学生からの付き合いの目覚まし時計。
今日は絶対に遅刻出来ない。
僕にとっても会社にとっても今日という一日が勝負の日であり、生涯で一番大切な日になるかもしれないのだ。
僕は急いで身支度をした。
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