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~美由~
「しばらくはいいよ」
義春の声に私は顔を上げた。
あれ……いつもと違う?
そうあの時……。
あの日の夜の義春の声だったからだ。
「誰かさんがまた変な男に引っかかった時に、俺がフリーじゃなきゃ慰めてあげられないだろ?」
生意気なこと言ってるけど目が優しい。
やっぱり義春はいい奴だ。
「もう大丈夫よ。私はね……。 ほら女の子待たせるなんてダメでしょ。早く行った行った」
「わかったよ。お前も早く帰れよ」
「うん。あっ……義春!」
私が呼びとめたので義春が振り返る。
「ん?」
「ありがとう」
「バ……バカ。気持ち悪いつーの。じゃ~な!」
義春はぶっきらぼうに言うとオフィスを出て行った。
義春といると私はなぜかホッとする。
「よし!ラストスパート」
時間はもうすぐ8時になろうとしていた。
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