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私は思い出した。
あの日の夜の事を……。
奥田課長が切なそうに「沙織……」とつぶやいた事を。
「どうして……。別れたの?」
私は冷静を装って言った。
「私も詳しくは知らないけど沙織さんはふーみんじゃなくて仕事を選んだみたい。
ふーみんは結婚したいと思ってたんじゃないかな?」
きっと奥田課長は沙織さんの事忘れてない……。
まだ好きなんだ!だから……。
「不思議なのよねぇ」
「えっ?何がですか?」
「美由と沙織さんってたぶんま逆だと思うのよ。沙織さんて女性としてパーフェクトな人だけど美由ってドジっ子って感じがするんだけど……」
おいおい成実さん。
本人が目の前にいるんですが?
「ふーみんって人見知りが激しい人だから……」
「だから何?」
私は少しぶっきらぼうに聞いた。
「……。ライバルにこれ以上は教えない」
「ライバルって別に私は……」
私は否定する。
誤解されては困まる。
「ほら下行くよ!あっ……この写真の事ふーみんに言わないでよ。嫌がるから」
「わかった」
納得はいかなかったが私は成実さんと一緒に下へ降りていった。
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