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「そこで思いだしたのが松本の存在だ。」
「高山は美由を利用しようと？」
「それもあるだろうな。だが松本に会って気持ちが変わった」
「変わった？」
変わったと言うのは……。
「高山は本気で松本に惚れていたんだ。だが金に目がくらんだんだろ。そして結婚した。もしお前が高山と同じ状況に置かれてたらどうする？」
高山の立場だったら……。
経営難の会社。
愛のない結婚生活。
そこに昔本気で惚れた女の登場。
「金も女もどっちも手に入れたい。そうゆう事か」
「そうゆう事だ。松本だけの事ならお前でも何とか出来るだろ。だが会社が絡むとなるとお前の力だけじゃ無理だ」
うわー。さらっと嫌味を言ったよ。
そりゃ俺には何にも力なんてねーよ。
俺は心の中で悪態をつけた。
「でも課長の力だったら高山の会社なんて簡単に潰せるんじゃないの？」
なってったって日本のトップ奥田物産の御曹司なんだからよ。
「確かにな。だが俺は奥田物産の人間じゃない。今はルーク商事のいち社員だからな。それに潰れたら一番困るのは経営者じゃないだろ？一般社員だ。関係のない社員が一番路頭に迷う。そんな事はしたくない」
確かにそうだ。
一番困るのは一般社員だ。
今まで信じて働いてきたものに裏切られ切り捨てられる。
「だけど……。松本に危害を加えるようだったら容赦しない。なんと言われようとあいつを潰す」
課長のその言葉にはすごく重みがあり迫力があった。
それって……。
でも俺だって！！
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