恋人契約

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仕事……。 そう奥田課長には今それしか頭にないんだ。 私たちの関係に……。 愛はない。 「交渉成立だな。ちょっと来い」 奥田課長はタバコの火を消すと部屋の奥の隅の方へ私を呼び寄せた。 そこにはドアがあった。 「これがお前の部屋の鍵だ。そしてこれが……」 奥田課長は胸のポケットから小さな鍵を出す。 「俺は隣の部屋に住む」 「隣の部屋?」 「玄関は別々になってる。このドアは俺とお前の部屋が繋がってる入り口だ。 このドアの鍵はお前の方からしかかけられない。 お前がこのドアを開けないかぎりここは開かない。何かあったらこのドアを開けろ。 話は以上だ」 課長と私を繋げるドア。 私はドアを見つめ、手にある鍵を握り締めた。 「もうこんな時間か」 課長が腕時計を見ながら言う。 「明日も仕事だ。俺は自分の部屋に戻る」 奥田課長は玄関の方に歩いていった。
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