恋人契約

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「あっ……!!」 私は奥田課長の腕を掴んでしまった。 「どうした?まだ何かあるのか?」 どっ……どうしよう……。 私は無意識に奥田課長の腕を掴んでしまっていた。 何か言わないと。 自分でどうしてこんな行動に出たか解らない。 「あっ……。やっ……家賃!いくらですか?」 何言ってんだ私。 「家賃って……。お前払えんのか?」 払える訳がない。 こんな高級マンション。 宝くじでも当たらない限り住めるはずがない。 「払えるかな?あははは……。分割にしてもらえます?」 一瞬呆気にとられた課長。 でもまたいつもの顔に戻って言った。 「家賃の分割なんて聞いたことねーぞ」 「ですよね……」 「お前、分割好きだな。」 好きじゃないよ! 払えないからだよ!! と言いたいが言えない。 「でもこのままタダでここに住むのって……」 奥田課長はなにやら考え込んでいる。 私はそれを黙って見ていた。
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