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「もうこれ以上……自分から幸せを壊さないで」
松本は涙声になりながらも懸命に高山に伝えようとしている。
「俺は……幸せなんかじゃない。政略結婚させられ、いざ会社の蓋をあけてみれば真っ赤な会社だった。義父には業績あげろと言われ俺は俺なりに頑張ってきた。でも……俺にだって限度がある!そんな時ルークとの契約の話が持ち上がった。俺はこれは最後の賭けだと思った。何としてもこの契約を成功したい。そしてこの会社に来て君と再会して……」
「どっちも手に入れたいって思ったんだろ?」
俺は高山の言葉を遮るように言った。
「……さすが……そう。それが男の野望ってもんだろ!昔付き合ってた女は仕事が出来る。うまく行けばこの会社の情報が簡単に手に入る」
「ひどい……」
美理が詰め寄ろうとしたが長谷部がそれを食い止めた。
高山は話を続ける。
「初めは……そのつもりだった。でも……本気で君をまた好きになった。
ごめん……傷つけるつもりはなかったんだ。……本当にごめん……」
それが本心なのかは顔の表情だけでは解らない。
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