突然の口づけ

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その日の夜、私の部屋で美理のお別れ会が行われそして次の日美理は実家へと帰っていった。 私は課長と一緒に美理を見送りに来ていた。 「あの子には色々迷惑かけちゃったな」 私の呟きに課長は気づいた。 「不甲斐ない姉を持つと大変だな」 と私の頭をポンと軽く叩く。 「ちょっと!!」 私は納得がいかなくて抗議した。 でも……間違ってないかな。 絶対に経験させたくない恐怖を私は経験させてしまった。 「少しは妹孝行できたのかな?」 「お前なりに頑張ったんじゃないか?美理も言ってたし」 新幹線に乗る前、美理は課長に何か話していたことを思い出した。 「貴史さん。お姉ちゃんの事宜しくお願いします。頭で考えるより体が先に動いちゃう様なおてんばな姉ですけど」 ブーーーー!! いきなり課長が噴出した。 「ちょっと何笑ってんですか?」 「いやいや……ちょっと思い出し笑い?」 なぜ疑問形? 美理が課長に話したことは私には聞こえなかった。 きっとよからぬ事を話てたのに違いない。 「いやらしい!!」 私は言ってやった。 フン!ちょっとスッキリ。 「そうだ!」 笑いの収まった課長が思い出したように言った。 「明日お前なんか予定あるのか?」 明日? 「日曜日ですよね。特には……」 「じゃぁ俺に付き合え」 え?何突然?? 「そろそろ俺に……」 「えっ?今なんて言ったんですか?」 最後の方がよく聞き取れなかった。 ほら帰るぞ!と課長に促され駐車場まで歩く。 明日……付き合えって……。 課長とデートって事なのかな? 少しウキウキした気持ちになった私はまさか課長にとんでもない所に連れていかれるとは思っていなかった。
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