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「貴史の家の力でなんとかならない?」
今まで一度も沙織は俺の実家の事を口にしたことがなかった。
それぐらい切羽詰まってたんだろう。
俺は親父に連絡をしその後すぐに沙織の就職が決まった。
沙織は泣きながら俺に感謝した。
その涙が俺には忘れられなかった。
それから春になり俺は奥田物産に入社した。
いきなりの専務。
仕事は卒なくこなしてきた。
でもなんだかすっきりしない。
社長の息子いわゆる次期社長。
その肩書だけで年上の部下たちが媚を売る。
初めはそれが気持ち良かったりもした。
その事を沙織にポロリと話をしたら。
「部下の仕事も把握できないましてや気持ちも解らない上司なんて最低よ」
吐き捨てるように言われた。
この時沙織は自分の仕事がうまく行かず悩んでいた。
沙織の入ったデザイン会社は自分のクライアントを見つけて仕事をする。
新人の沙織にクライアントなんかなかなか見つからない。
それなのに上司は仕事をこなせとプレッシャーをかける。
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