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沙織は疲れがたまっていたようだ。
そんな沙織を見てられなかった俺は沙織に仕事の世話をしてやった。
どんどん沙織に仕事をまわしてやると沙織の表情も生き生きとして俺も嬉しかった。
社会人になって半年が過ぎた頃大学の同期たちとの飲み会があった。
同期から出てくる言葉はほとんどが上司への愚痴だ。
俺はその上司の立場だから口を出すことは出来ない。
この時ふっと沙織が言った言葉を思い出した。
そして俺は何が自分に足りなかったのか見つけることが出来た。
そう……。
俺は苦労をしていないということを……。
会社に入っていきなり専務という肩書き。
社員達がいったいどんな苦労をしてどんな努力をしているかまったくわからない。
失敗すれば怒り、成果を挙げれば当たり前。
褒める事などしない。
これでいいのか？
俺の仕事はこれでいいのか？
自問自答に追われていた。
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