密室の二人

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そして俺は決断した。 親父に事情を話し半年後俺は奥田物産を辞めルーツ商事に入社した。 トップに立つ為にはまず社員の気持ちを知らなければいけない。 それにはまず自分が経験することが一番だと思ったからだ。 そう考えたのは沙織の一言がきっかけだったが、沙織は俺が奥田物産をやめる事を猛反対した。 俺はそれが少しショックでもあった。 沙織なら解ってくれると思っていたからかもしれない。 だか俺の意思は固かった。 ルーツ商事にはもちろん奥田物産の名前を伏せて入社したがどうやら社長だけは知っていたようだ。 それでも社長は普通と社員と同じように接してくれた。 沙織とは別れることもなく順調にいっていた。 沙織は度々仕事のことで泣きついて俺はルーク商事に入ってからも顧客を紹介してあげていた。 今となってはそれがいけなかったのかもしれないが……。 けど俺は喜ぶ沙織を見るのが好きだった。 付き合って4年俺もそろそろ結婚と言う気持ちにもなっていた。 もう沙織以外に考えられないでいたからだ。 だが俺は社会人になって2年。 しかもルーク商事に入って1年しかたっていない。 でも婚約という形だけでもしておきたかった。 それなのに……。
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