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「大事だな」
課長がポツリと言った。
私は課長の顔を見上げた。
とても清々しい顔をしている。
その顔を見ただけでバカな私でも理解できる。
課長はまだ沙織さんが好き。
心臓が抉られたように痛い。
呼吸したいのに上手く出来ない。
私はこれ程まで課長の事を思っていたのかと痛感させられた。
「どうした?」
課長が私の顔を覗き込む。
今の顔は見られたくない。
きっとひどい顔してるから。
「何でもありません」
課長は私が寒がっていると思っているのか抱きしめている腕を強めてさらに引き寄せる。
気持ちはつらいのに課長の腕の中はホッとする。
私は言葉を発しないままそのまま身を委ねた。
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