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「そう。あの人の部下なの」
まったく動じない沙織さん。
流石だとしか言いようがない。
「まぁ……ここだけの話だけど奥田……貴史と私は恋人だったの」
ハッキリと恋人だったと宣言する沙織さんに私たちは顔を見合わせる。
「なぜ別れた彼の事を気にするんですか?」
ひよりが挑戦的な目で沙織さんに聞いた。
「嫌いで別れた訳じゃないのよ。仕方なかったの。」
沙織さんは少し寂しげな声で言った。
やっぱり沙織さんは課長の事をまだ好きなんだと思った。
「いいんですか。そんな事、私達に話しても」
千恵が沙織さんの顔を見ずに静かにそう言った。
「それもそうね。ここでそんな話してもしょうがないものね。悪かったわね。楽しいお食事中にこんな話して……」
いつの間にか食事を終えていた沙織さんはコーヒーを注文した。
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