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「で?何で言わなかったんだ?」
「それは……」
私は何も言えなくなってしまった。
結局自分がみじめになるのが嫌だっただけだから。
課長はコーヒーを飲みながら私の言葉を待っていた。
「ったく……よけい拗れたんじゃないのかよ」
痺れをきらしたのか、課長が口を開いた。
「周りは俺達の事知ってんだ。沙織の耳にだって必ずは入るだろ。だったら最初から言ってればいいものの……。お前ほんっとあほだな」
ほんと。私あほだよな……。
私はズーンと落ち込んでしまった。
「あのなぁ……」
私はそっと課長に目を向ける。
「もう少し俺を信用しろよ」
課長は空いてる腕を私の首に巻き付け私を自分の方に引き寄せた。
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