視線

20/21
660人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
私は課長に頼まれた仕事をする為、席に戻ると出かける支度をしていた。 「美由さん。お出かけですか?」 真生が私の様子を見て言った。 「今から建設会社に行ってくるから。帰りは……連絡する」 「了解です」 PCに電源を落とし鞄を持ってドアに向かおうとした時、何かを感じた。 重たい空気を感じ周りを見回すと奥で打ち合わせをしている沙織さんと目が合った。 私が感じてたものはどうやら沙織さんの視線だったらしい。 沙織さんは私をジッと見つめたまま動こうとしない。 私はそれだけでも体が硬直してしまう。 「美由さん?行かないんですか?」 真生に声をかけられハッとする。 沙織さんを見るともうこちらを見ていなかった。 「美由さん?」 「あ……ごめん。行って来ます」 私は急いで会社を出た。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!