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「千恵!どうしたんだ?」
その声に私は顔を上げる。彼が走ってやってきた。
気が動転していて気がつかなかった。ここは彼の病院……。
「春川さん。誰だい?」
彼氏です。となぜだか今は答えたくない気分。
だけど……。
「デートの途中でいきなりいなくなるからビックリしたよ。近くで事故があったって聞いて。警察に聞いたらうちの病院に運ばれたっていうからさ、まさかと思って……」
「ごめんなさい」
私は彼に謝った。
「デートの途中だったのか?悪かったな。彼女は私の部下で……。私に付き添ってくれてただけです。心配しなくても彼女はなんともありませんから」
川東部長が彼に弁解する。
「そうですか」
「春川さん悪かったね。俺は今から警察に行って事情聴取受けてくるから。ありがとうな」
部長は優しい笑顔でそう言った。
そして私を残し病院を出て行った。
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