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私はそれからしばらくして彼氏と別れた。
今は新しい彼氏を作る気分にもなれない。今まで一度もそんなことなかったのに……。
「千恵?どうしたの?めずらしいね一人でなんて……」
カフェテリアで休憩をしていると美由が私を見つけてやってきた。
当たり前のように私の前の席に座る。
「たまにはね~」
美由には悪いが正直一人にしておいてほしかった。
だから適当に返事をする。
「医者の御曹司と別れたんだって?」
「まぁね」
「千恵さ~今何か壁にぶつかってるんでしょ~?」
「えっ?」
私は驚いて美由の顔を見た。
「まぁ私の勘だけどね」
美由は自分に関わる事に関しては鈍いのに他の人の事にはすごく敏感。
「千恵が話したくない事は無理には聞かない。でもさ……。どうしようもない時は頼ってほしい。話聞くぐらいしか出来ないけど。でもそれでも少しは気持ちが楽になると思うんだ」
……。
「私はいつも千恵に助けてもらってる。……千恵って同期の中でも頼れるお姉さんって感じでついつい甘えちゃうんだけど、ふっと考えたんだよね~。じゃぁ千恵は誰に甘えるんだろうって。今まで付き合ってきた彼氏にも一線置いてる雰囲気があったし……。それって疲れない?」
私は黙って美由の話を聞いていた。
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