千恵の恋

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川東部長は起き上がりもう一度止めに入る。 殴った本人は少しビックリしたような顔をしている。 きっと殴るつもりはなかったのだろう。 川東部長のおかげでなんとかその場は収まった。 私は急いで戻り受付を通る部長を呼びとめた。 「川東部長!」 部長が私の声に振り返る。 「あれ?君はたしか……」 「み……松本と岡の同期の春川千恵です」 「あいつらの同期なの?君はあいつらよりしっかりしてるから上なのかと思ってたよ」 「そんな事ありません。……それより……はい」 「ん?」 私は川東部長に絆創膏を差し出した。 「これしかなくて申し訳ないんですけど……。ないよりはましかと思って……」 私があげた絆創膏はかわいいキャラクターの絵が書いてある。 プッ! 川東部長が噴き出した。 「どっ……どうせ私には似合わないっていいたいんですよね!」 「違うよ!その逆」 「逆?」 「君に似合ってるって思って。……ありがとう。これ使わせてもらうよ」 そう言って部長はエレベーターに乗り込んだ。
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