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少し前歩く課長の背中を見ながら思う。
今日はたまたま偶然会っただけ。
休日を一緒に過ごす約束なんてしていない。
課長には課長の生活があって、それは私が関わることじゃない。
本当の恋人だったら一緒に過ごしたいと言えば一緒にいることが出来る。
でも私たちは契約をしただけ。
きっと課長は気にするなと言うかもしれない。
でも……。
私にはどうしても一歩を踏み出すことが出来ない。
ドン！
私は何かにぶつかった。
「お前、ちゃんと前見て歩けよ」
私がぶつかったのは課長の胸。
前を見ていたのだか考え事をしていたので見えていなかったのかも知れない。
「で？どうする？」
はい？
課長に突然聞かれて戸惑う。
課長ははぁ～とため息をつくと、
「やっぱり聞いてなかったんだな」
と私の頭を軽く小突いた。
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