負け試合-1

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ドアを開けて私は一瞬顔色を変えた。 ドアの前に立っていたのは課長だけだけど、その背中にいるのはトモキ君だった。 「悪いな。こんな時間に」 「いいえ……」 私は課長に中に入るように言ってドアを閉めた。 トモキ君は課長の背中でぐっすりと眠っていた。 ゆっくりとソファーにトモキ君を下ろして課長は解放されたのか肩をまわした。 聞きたいことがたくさんあるのに上手く言葉が出ない。 「腹へったな」 課長が私の顔を見て言った。 「丁度何か作ろうと思ってたんです」 私はキッチンに入り食事の支度を始めた。 課長もキッチンにやってきて冷蔵庫からビールを取り出す。 その場でプシュッと開け美味しそうに飲んでいる。 「ん?お前も飲みたいのか?」 どうやら私は課長をガン見してたようだ。 慌てて目をそらす。 「後で飲みます」 「そうか」 課長はビールを飲みながらキッチンを出て行った。
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