白紙の契約

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~貴史~ 部屋で新聞を読んでいると携帯が鳴った。 慌てて取ると俺が昨日から待っていた人物。 松本からのメールだった。 『今日これから課長の部屋に行きます。必ず居て下さい』 俺が出掛けてたらどうするんだよ。 フッと笑うと同時に安心感でホッと息をつく。 昨日から連絡が取れなくて心配していたからだ。 最近、松本の行動がおかしかった。 話しかけても逃げるように話を終わらせるし、早めに帰っても部屋にいなくてなんなんだよ!と思っていた。 避けられてるにしても俺にはまったく身に覚えがない。 昨日もトモキが遊びに来るというから松本も会いたいだろうと思って連絡したのに出ねーし……。 挙句の果てに電源を切られた。 トモキの母親は沙織だ。 沙織は俺の知らないところでトモキを生んでいた。 父親の事を聞いてもはぐらかす。 聞かれたくないのかと思ってあえて無理には聞いていない。 ただトモキが俺を父親だと思っていることが心配だ。 沙織もトモキを注意しないしどちらかと言うと嬉しそうにしている。 俺がトモキの父親? そんなわけがない。 だかはっきりと言い切れないのは身に覚えがあるからだ。 トモキが5才だとすればいくら注意してたとはいえ100パー違うとは言い切れない。 でもたぶん違うはずだ。 もし仮にトモキの父親が俺だったとしたら沙織はっきりと言う筈。
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