白紙の契約

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契約……契約……契約。 もううんざり……。 私は首を横に振った。 「課長にはさお……」 「お前……好きなやつが出来たのか?」 えっ? 思いがけない質問に私は言葉を失った。 「好きな人って……」 「お前に好きな人が出来たら契約は終わる」 あっ……! そんな契約条件があった事を言われるまで忘れていた。 「そうなのか?」 切ない目で見つめられる。 どうしてそんな顔をするの? 「そうじゃなくて……私は課長の側にいちゃいけないんです」 課長から目線をそらし私は言った。 「何でいちゃいけなんだ?ちゃんとこっちを見ろ」 グイッと顎を持ち上げられ顔を課長の方に向けられる。 視線と視線が絡み合いこんな時になのに体が熱くなるのが分かる。
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