白紙の契約

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課長の指が優しく触れるたびに愛おしさが募る。 今ここで好きだと言ったら課長は答えてくれるだろうか。 沙織さんではなく私を選んでくれるだろうか。 それはトモキくんを見捨てるということになる。 そんな事……させたくない。 でもそれは建前だ。 本音は振られるのが怖いだけ。 振られる勇気がないだけだ。 「泣くほど……なのか……」 課長が何かを呟いた。 私はそっと顔を上げる。 課長は優しい顔で私を見ていた。 「わかった」 課長の声が私の胸に響く。 「お前の好きにしたらいい」
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