白紙の契約

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全身の力が抜けるというのはこーゆう事をいうのだろうか。 自分がどうやって息をしているのか、立っているのか分からないくらい。 きっと課長に抱かれてなかったらきっとその場で崩れ落ちているだろう。 自ら望んで言った事なのにいざ現実になるとこんなにもショックな事なのか。 『後悔しない?』 千恵の言葉が思い出される。 あの時は強がって言ったけど本当はすごく後悔している。 私は少し勘違いしていたのかもしれない。 課長がちゃんと彼女扱いしてくれていたから。 私に少しでも好意を寄せてくれてるのかも。 なんて調子いい妄想を描いていたから。 「どうした?」 課長に優しく問いかけられる。 またここで泣いてしまったら私の言った事が無駄になってしまう。 課長に後悔している事を悟られてしまう。 私は課長の腕の中から離れて課長の顔を見上げた。 「ありがとうございます」 そう言い残し課長の部屋を出た。
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