白紙の契約

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~貴史~ 『恋人契約を解消させて下さい』 松本が言った言葉。 一瞬俺は何の事を言っているのか分からなかった。 恋人契約……。 だかそれはすぐに思い出された。 そんな契約をしていた事さえ忘れるくらい、俺の日常に松本という存在が入り込んでいたからだ。 松本がどうして急にそんな事を言い出したのか俺には分からない。 「認めない」 俺はハッキリと言った。 どんな形でもいい。 俺の側に置いておきたい。そう思うのは俺のエゴなのかもしれない。 どうして解消したいのか? 理由を聞いても松本はハッキリと言わない。 もしかして好きな奴が出来たのか? はじめはただの面白い奴だった。 俺を痴漢扱いしてくれたりもしたけどな。 そんな事もあって俺にとってすごくインパクトがある存在だった。 部下と知った時は思わず笑いそうになっけど、松本の辛い過去に触れ、構っているうちに俺にとって側にいるのが当たり前な……。 そんなかけがえのない存在になっていた。 恋人契約をしてた事すら忘れるほどに……。
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