684人が本棚に入れています
本棚に追加
松本は沙織の言った事を信じたようで、もう一度契約の話を解消したいと言った。
俺を信じてくれなかった事にちょっと腹が立ったが、それは仕方のない事だ。
俺にはハッキリ違うとは言い切れないから。
昨日沙織と会った時にきちんと話を聞くべきだった。
今更後悔しても遅いのだが……。
松本は俺の腕の中で泣いていた。
きっと色々考えて出した結論だったんだろう。
今俺がここで松本に好きだと言ってもきっとあいつは信じない。
信じてもらうにはきちんと決着をつけなくちゃならない。
だがこのまま松本を手放すつもりもなかった。
俺は松本に好きにしたらいいと言った。
曖昧な言い方だとは分かっている。
だが俺の口からは終わりにするとかそんなセリフは言いたくなかった。
もう俺の中で恋人契約とかそんなものどうでも良かったから。
本当は手放したくない。
けどこれ以上、松本を苦しめる事はしたくない。
まずは事実を確認しないとな。
松本が出て行ったドアを見つめたままため息を一つついた。
そして携帯を手に取り発信ボタンを押した。
最初のコメントを投稿しよう!