優しい誘惑-1

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わざと置いていったボールペンを手に取り松本に近づこうとしたがもし逃げられたら? そう思ったら近づく事が出来なかった。 俺ってこんなビビリだったのか? 自分で自分に苦笑いしながら作戦を遂行することも出来ず、そのまま立ち去ろうとしたら松本に呼び止められた。 「さっき沙織さんがいらして……」 「沙織が?」 まさか沙織の話が出てくるとは思っていなかった。 あの日、松本が俺の部屋を出ていってからすぐに沙織に電話をかけた。 沙織はすぐに電話に出た。 トモキの事を電話で話してもよかったんだが俺にはちょっと考えがあった。 会って話をしようと言ったが忙しいからと沙織の方から連絡くるのを待つことになっている。 2日たっても連絡がなくイライラして何度か電話をかけたが出ない。 会社にも出社してなくイライラがマックスになろうとしてた時に松本の話だ。 沙織は仕事を文句に松本に罵倒を浴びせたらしい。 いくら精神の強い松本でも部下の前で言われたら傷つくよな。 沙織はいったいどうしたんだ? 俺が付き合ってた頃の沙織は優しくて、思いやりがあって誰からも好かれていたはず。 だか会社で評判がよくないのは俺も耳にしていた。 特に松本にはひどく当たってるような気がする。 きっと俺のせいなんだろう。
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