優しい誘惑-1

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~義春~ エレベーターに乗り込むと一番遭遇したくない相手が乗っていた。 思わず舌打ちする。 「なんだ?長谷部」 乗っていたのは奥田課長。 俺の今最大の敵だ。 「別に。何でもないっすよ」 美由を散々傷つけてよく平気でいられるよ。 俺は軽く課長を睨んだ。 俺は黙ったままエレベーター表示を眺めていた。 あと一階で課長の降りる階だ。 「長谷部」 後ろから声をかけられる。 「俺が側にいない間、あいつの事頼むな」 エレベーターの扉か開き課長は俺にそう告げると肩にポンと手を置いて降りていった。 「外回り、頑張れよ」 こっちを見ずに片手をヒラヒラさせて、そして扉は閉まった。 「な……何なんだよ!!」 誰もいない事をいいことに俺は大声を上げる。 大体、俺が側にいない間ってなんだよ! もう終わったんだろ! 「ムカつくなー」 俺がずっと美由の側にいるからあんたは用なしだよ!! くそーっ。 俺はいない相手に向かってパンチをおみまいすると、丁度エレベーターの扉が開き入ってきた人物の腹にヒットした。 や……やべーーっ!!
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