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「図面は書き直しません」
私は静かに言った。
「何ですって？」
「もうこれでＧＯサインが出てるんです。下請け業者も動いています。今更、変更なんて出来ません」
沙織さんは私が反抗するとは思わなかったのだろう。
私を睨むと、
「あなたみたいな下っ端に言っても埒が明かないわね」
と言った。
私はこの部署で主任の立場だ。
それを分かってて言っているという事は完全に私をバカにしているという事。
「いいわ。社長に直接お話しておくから。それとも……私に個人的に恨みがあって反抗してるのかしら？」
社員の前で堂々とプライベート話を持ち出した沙織さん。
きっと課長との事を言っているのだろう。
沙織さんは私に近づくと耳元で囁いた。
「早くトモキの父親を返してね」と。
そして私から離れるとそのままオフィスを出て行った。
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