588人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
こんな顔じゃ会議に出れない……。
トイレの鏡に写った自分の姿に愕然とする。
目は真っ赤だし、化粧もはがれている。
とりあえず顔を洗い、千恵に化粧道具を持ってきてもらおうと電話をかける。
真生にしなかったのは泣き顔を見られて細かい事情を聞かれるのがめんどくさかったからだ。
千恵はすぐにトイレにやってきた。
千恵から化粧道具を受け取り素早く直す。
その間、千恵は黙って側にいてくれた。
千恵はどうして私が泣いていたのか理由を聞いてこない。
正直ありがたかった。
千恵にお願いして正解だったな。
「ありがと、千恵」
私は化粧ポーチを千恵に返す。
「別に。いいの?時間」
時計を見ると会議が始まる2分前だった。
「やばっ。もう行くね」
私は急いでトイレを出た。
エレベーターを待ってる時間が勿体無くて私は非常階段を使って10階までかけ上がった。
ギリギリセーフ。
深呼吸をして心臓を落ち着かせると会議室のドアを開けた。
どうやら私が最後だったらしく課長に睨まれた。
私は頭を下げると空いている席に腰を下ろした。
最初のコメントを投稿しよう!