優しい誘惑-1

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会議が終わり私は会議室の片づけを命じられた。 社員が退室したのを確認し、テーブルの上を片付け始める。 するとガチャっとドアが開いた。 入ってきたのは課長。一瞬心臓が飛び上がった。 「どうされたんですか?」 「忘れ物してな」 課長は自分が座っていた席に行くと「あった」と声を上げた。 「終わったらすぐ戻れよ」 一番最後に入った事、怒られるかと思ってたのに課長は普通だった。 「あっ、課長」 私は課長のスーツの裾を持って引き止めてしまった。 「どうした?」 振り返る課長は少し驚いた顔をしていた。 どうして引き止めたのか自分でも分からない。 ど……どうしよう……。 あ!そうだ。 私はさっきの事を思い出した。 「あの……。お時間大丈夫ですか?」 「なんだ?改まって。って言うかいい加減それ離してくれないか?」 課長が指差す方を見て私は慌てて手を離す。 ずっと私は課長の裾を握っていたのだ。
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