588人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
会議が終わり私は会議室の片づけを命じられた。
社員が退室したのを確認し、テーブルの上を片付け始める。
するとガチャっとドアが開いた。
入ってきたのは課長。一瞬心臓が飛び上がった。
「どうされたんですか?」
「忘れ物してな」
課長は自分が座っていた席に行くと「あった」と声を上げた。
「終わったらすぐ戻れよ」
一番最後に入った事、怒られるかと思ってたのに課長は普通だった。
「あっ、課長」
私は課長のスーツの裾を持って引き止めてしまった。
「どうした?」
振り返る課長は少し驚いた顔をしていた。
どうして引き止めたのか自分でも分からない。
ど……どうしよう……。
あ!そうだ。
私はさっきの事を思い出した。
「あの……。お時間大丈夫ですか?」
「なんだ?改まって。って言うかいい加減それ離してくれないか?」
課長が指差す方を見て私は慌てて手を離す。
ずっと私は課長の裾を握っていたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!