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「山下さん?どうされましたか?」
松本さんの声にハッとする。
歩きながらさっきの事を思い出してたらしい。
「大丈夫。なんでもないよ」
いつもの調子で松本さんに笑いかける。
「山下。面倒かけたな」
いつの間にか松本さんの横に奥田がいて俺に話しかける。
「気にするなよ」
その時俺は気づいてしまった。
松本さんが奥田を見るその眼差しが柔らかい事に……。
一体どーゆうことだ?
この二人は別れたばかり。
普通いくら職場でもギスギスすると思うんだか二人には感じられない。
それどころか振ったはずの松本さんのあの目は……。
まだ好きなのか?
そうなるとお互いがまだ好きという事になる。
じゃなぜ別れたのか?
色々事情があるんだろうけどまぁ、いいか。
俺にチャンスをくれた訳だしね。
「奥田。今日飲みにいかないか?」
俺はなんとなく奥田を誘った。
「悪い。今日は野暮用があってな」
「そっか残念だな。久しぶりに飲みたかったんだけど……。じゃ松本さん一緒に行かない?」
「えっ?」
急にふられた松本さんは戸惑いを見せていた。
「あ……あの今日は疲れたので……」
それもそうか。あんな事があったんだ。そんな気分にはなれないだろう。
「そうだよね。また今度付き合ってね」
「はい」
松本さんは春川さん達に呼ばれてそっちへかけて行った。
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