608人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
「木島弘樹31才。自称画家。イタリアで活動していたが4年前き急に行方をくらました。この木島って画家さんは沙織、お前と付き合ってたんだろ?」
俺の変わりに竹内が言う。
沙織は少しの間考えているようだが、しばらくして顔を上げるとこう言った。
「話をする前に教えて頂戴。弘樹は生きてるの?」
「本当にすべて話してくれるんだな」
俺は念を押した。
「ええ。ちゃんと話をするわ」
沙織は落ち着きを取り戻したようだった。
「生きてるの?」
「ああ。生きてる」
俺の言葉を聞いた沙織はホッとした顔を俺に向けた。
「居場所も?」
「ああ」
それを聞いた沙織は胸を手において天井を見上げた。
きっと泣くのを我慢してるんだろうと俺は思った。
そして俺に顔を向けると、
「すべて話すわ」
と静かに言った。
最初のコメントを投稿しよう!