告白さえも……

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「遅い!!」 課長は店の外で私を待っていたようだ。 「私タクシーで帰りますから」 課長の目を見ずに私は言う。 泣いた事を知られたくなかった。 課長が私に近づき腕を強く引っ張る。 私はバランスを崩し課長にもたれるような形になってしまった。 「離して下さい」 課長から離れたくて抵抗してみるが男の人の力に敵う訳がない。 「離さない」 課長が私の耳元で囁く。 どうしてそんな切ない声で言うの? そんな声で言われたら勘違いしちゃうじゃない。 ずるいよ課長……。 「お願いです。離して下さい」 お願いだからこれ以上私の心をかき乱さないで! 「言ったろ?離さないって。ちゃんと部屋まで送る」 もう本当にやめて……。 「課長なんて大ッ嫌いです」 グイッと思いっきり課長の胸を突き放した。 心に思ってもいない言葉を言った瞬間課長と目が合った。 向こうから車のライトが近づいてくるのが見える。 きっと頼んでおいたタクシーが来たのだろう。 「今日はご馳走さまでした。お休みなさい」 私は体の向きを変えタクシーに向かって走り出した。 「松本!!」 課長が呼ぶ声を背中に受けながら私は振り向く事無くその場を去った。
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