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「みんなちょっと話を聞いてくれ」
部長の声にみんなが一斉に注目する。
私にはこれから何を話すかは解っていた。だから私は部長ではなくその隣にいる人物を見ていた。
どうしてここにいるのか。
この会社には関係のない人のはずだ。
まー…まったく関係ない訳じゃないけど。
私がジッと見ていたせいか目が合ってしまった。
私は慌てて視線をそらす。
「えー突然なんだか本日付で奥田くんがこの会社を退職することになった」
思った通り社員たちがざわめいた。
泣き出す女子社員もいる。
気持ちは解らなくないけどね。
「美由、知ってたの?」
ひよりが小さい声で聞いてきたので私は頷いた。
「あの人の事も?」
それは知らない。
私は首を横に振った。
「おーい。みんな静かにしろ。それでだな……」
部長が隣にいる人を見た。
まさか……だよね。
だけど今の所、彼しか適任者はいないんじゃないかと私は思った。
「奥田くんの代わりにプロジェクト室の室長となる……」
その言葉で私は自分の考えが間違っていなかった事が証明された。
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