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連れてこられても困るんだけどな……。
私個人として何を話ししたらいいか解らない。
だいたい個人って一体何?
どんな事を話せばいいのよ。
恋人の振りしてる時、楽しかったですとか?
部屋を貸してくれてありが……。
「あ!部屋!!」
私は肝心な事を忘れていた。
色んな事がありすぎて頭の中からすっぽりと忘れていた。
何も接点のない今、あの部屋を借りたままではいけない。
課長もきっと邸に戻るだろう。
「急いで何とかしなくちゃ……」
「何を急ぐの?」
えっ?
後ろから声がして振り向くと山下さんがいた。
どうしてこの人はいつも私の後ろから気配を消して声をかけてくるんだろう。
「それにしてもすごいね。あの人気」
山下さんは先程の私の言葉にあまり興味がなかったのか、その事は無理やり聞く事はなく前方にある女子社員の輪を見て言った。
「松本さんは入らないの?あの中に」
「私は……」
「あー。君は特別だもんね」
山下さんは意味深な言い方をした。
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