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「確かに身分が違うかもしれない。でもそれを言ったら私だってそうよ。彼とはひと回り離れてるし、彼はバツイチ子供持ち。
だけどそれでも私は背中を押してもらって彼の側にいる。
その背中を押してくれたのは美由、あなたじゃない。
動かなきゃ何も始まらない……。そう言ってくれたのは美由なのよ」
そうだったかもしれない。
自分の事で精一杯でそんな事すっかり忘れていた。
「好きなんでしょ?奥田課長の事」
そんなの決まってる。
「すっ……好きだよ……」
何だか改めて言うと恥ずかしくて声が小さくなる。
「はじめは嫌いだった。あんな俺様な人なんて苦手だった。でも本当は優しくて頼りになって……。
どんどん私の中に入ってきて……。
気が付いたら全部を好きになってた」
泣いちゃいけないと思えば思うほど涙が出てくる。
みんなの前で泣きたくないのに止められない。
「課長にとって私は一番近い存在だと思ってた……。でも違った。……課長の世界に私は入れない……。
でも……諦められない。
逃げて楽になりたいって何度も思った。
だけど……。だけど……」
もう自分の気持ちを抑える事が出来なかった。
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