新たな出発点

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「でも良かったわね」 千恵が私に言った。 「運命の人に出逢えて」 千恵もひよりも優しい目で私を見ていた。 「二人のお陰だよ。千恵とひよりが私の背中を押してくれたから」 もちろん二人だけじゃない。 義春もそして山下さんも私の味方になってくれた。 「……ありがとう」 私は素直な気持ちを二人に言った。 「何あらたまってんのよ。今日は美由の奢りだからね。千恵、いっぱい飲もう。将来の奥田財閥夫人に乾杯」 「そうね。飲みましょう」 「ちょっと何よ夫人って」 私は言った。 「だっていつかは結婚するでしょ」 「結婚って……。まだ付き合ったばっかりよ」 「次は私の番かぁ」 ひよりは私を無視して焼酎を飲みながら嘆く。 「私も早く運命の人に出逢いたい」 「あら?竹内さんは?」 私が突っ込もうとした事を先に千恵に言われた。 何気に気になってたから。 「なんでそこでインチキ弁護士が出てくるのよ。お酒が不味くなるじゃない」 ひよりは嫌そうに言ってるけど満更でもなさそうだ。 「結婚かぁ……」 私は二人の会話を聞きながらさっきの事を思い出し呟いた。
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