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南帆2(アレコレソレ)
はぁっ…っ!
くぁはっ…っぅ。
もう何度目だろう…
コレはいつ終わるのだろう・・・
苦しい…
真夜中であろう薄暗い部屋の中。
月明かりが
カーテンの隙間から差込んでいる。
部屋は8畳
フローリングに大きな黒いソファ
洋室に似合わないシングルの敷布団
その上で体を丸くさせている女が一人
女は正座を崩した膝の上に
自分の胸と頭を押し付けるように
丸まっている。
顔は蒼白、
流れおちる涙と鼻水まみれ、
苦しそうに唸り、
体は震えていた。
私は病気じゃない。
イヤ、ある意味病気か
病気だったら治せるのに…
たったアレだけでこんな状態になるなんて…
いつになったら…コレは無くなるんだろう
いつになったら…
この苦しみから解放されるんだろう
女は心の中で呟きながら、
まだ治まりそうもないコレを
どうにかしようと一人
暗い部屋で体を固くし、
女の口から洩れる嗚咽を
必死で声に出さないよう
我慢していたのだ
女の名前は
高橋南帆(タカハシナホ)
年齢27歳
目は二重
肩より長いチェリーブラウンの髪
ふっくらとした下唇は
きれいな歯並びの前歯で
何度も噛んでいたのか…
少し赤くなっている
南帆はアレをきっかけに
コノ状態になっていた
…アレの事はまた後ほど。
すぅーーーっ!!!と息を吸って、
「ふぅー...はぁあああっ!!!」
と嗚咽の声よりも大きな音を出し
息を吐き出した。
「はぁ...」
小さな溜息と同時に
今まで固く丸くなっていた体を
一気に解放するように
大きな大の字で
布団の上で仰向けになった
まだ目から流れ落ちる涙を拭かず
震えの止まらない両手を気にもせず
無表情で暗い天井を見上げている
天井の向こう側を遠く
暗い瞳でソレを見つめた
忘れたい
忘れたくない
忘れられない……
南帆は心の中で叫んでいた
何かを見つめる様に
ソレを見ながら
無意識に声に出していた
毎日だった頃よりマシか…
じゃあ許してあげる…
ぅぅ
南帆は語尾に言葉を詰まらせ
涙を流す
涙と鼻水だらけの顔を
ソレから隠すように腕で覆った
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