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二人から紹介された『センパイ』は
ゆっくり話す人だった。
言葉は少ないけど、
耳に残るような話し方をする。
「先輩!この子私達の親友なの!
南帆っていうんです!」
「初めまして藤本です」
「は、はじめまして」
顔を赤らめて頭を下げて挨拶をした。
「でねッ先輩!」
二人は興奮しながら言い寄ると、
藤本先輩は二人を見上げて
「ねぇ」
と声を掛ける。
二人はそれを聞いて黙った。
藤本先輩は雑誌に視線を落とし
頁をめくった後、また二人を見て
「今日はいい天気だね」
とゆっくりと笑顔で言った
「は~…ですね。」
と返事をする二人は、
目をパチパチさせ
キョトンとした顔をした。
私は可笑しくなり小さく笑ってしまう。
美羽は「南帆笑うとこじゃないよ!」
実里も「もう参るな~」
困った顔をした。
藤本先輩は二人から私に視線を移し
「ナホちゃん、桜好きなの?」
と聞いてきた。
私は緊張が解けていたのか
「はい」
と自然に返事をする
「そう」
藤本先輩は優しい笑顔をする。
そんな私達を二人が見て
「「ミラクル!」」
と言ってハイタッチをした。
その後、何故か藤本先輩とは
自然に会話ができた。
きっと彼の会話のテンポが
私に合っているのだろう。
美羽と実里はいつもと変わらないテンポで
明るく話している。
急に忘れていた何かを
思い出したように実里が叫んだ。
「先輩それよりね!ほらっ前に言ってた…!!」
「実里ちゃん」
ゆっくりと実里を呼んだ。
「はい?」
「大丈夫だよ」
「へ?何がですか…?」
先輩は考えるように本の頁を捲りながら
「あの事かな~?」
「そ、それですたぶん」
「そう」
「・・・・」
実里は会話が噛合わず美羽に泣きつく
美羽はそれをなだめながら言った。
「ソレに私たち参加したいんですけど
いいですか?」
美羽は息を呑み返事を待っていた。
(あの事ってなんだろう?)
私は首を傾げた。
藤本先輩は美羽と実里を交互に見て
私に視線を移し微笑みながら
「南帆ちゃんお花見好き?」
と聞かれたので私はコクンと頷いた。
歓喜する二人様子を藤本先輩は
ニコニコと眺めている。
私はそんな先輩を見ながら
(癒し系ってこういう人かも)
と思った。
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