回想2(センパイ)

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親友達は私にはコミュニケーションが 足りないと考えたらしい。 でも私に自分達の友達を紹介しても 嫌な思いをさせるのでは?と悩んでいた。 そこで二人が閃いた人物が 藤本先輩だった。 私が緊張せずに話せるに違いないと 二人は確信していたのだ。 先程の会話でも分かるように 彼はゆったりと話す人だ。 他の男の子達とは違う、 独特な雰囲気で不思議な人ではあるが優しい。 言葉数は少ないが的を得ている。 ただ、何を考えているか解らない事も多々… その藤本先輩がある日・・・ 「花見がしたい」 そう呟いた。 たまたま先輩の前に立って居た後輩二人が 自分達に言われたと勘違いし、 「…じゃあいつにしますか?」 と相槌をしたらしい。 その話を聞いて先輩らしいと笑った。 それを美羽と実里は思い出し、 私と一緒に参加したらいいかもっ!と、 藤本先輩を紹介してくれたのが経緯だった。 「藤本先輩は確かに癒し系かも」 教室に戻った私は呟いた。 「珍しいね、南帆が男を褒めるなんて」 美羽が驚いた顔で私に体を向ける。 「話しやすいの」 「先輩のアノのテンポは確かに南帆に合うわ~」 実里がキャハハと笑いながら言った。 「それに」 「「それに?」」 二人同時に聞かれて少し体が跳ね上がった。 「まさか南帆ちゃん…春の予感?」 探るような視線で美羽に言われて 「ち、ちがう!」 顔が真っ赤になった。 「じゃあ~なによ~」 まだ怪しいと言わんばかりに実里が言った。 「お・・・・。」 「「お?」」 二人から視線を逸らし小さな声で答えた。 「お兄ちゃんって…あんな感じかなぁって…」 「「・・・・」」 二人は私が言った言葉を復唱した 「「お兄ちゃん…!!」」   「南帆~!もうあんたって子は~!」 と右側から美羽が 「や~ん私が買ってあげる~お兄ちゃんっ!」 と左側から実里が 私は二人に抱き締められ揉みくちゃにされた。 実里と美羽が「南帆」と連呼したからなのか 二人の前方に居た『ナオ』が振り返ったのが見え 私は赤い顔が見えないように顔を伏した。 (桜は満開、お花見楽しみだな…)image=485827567.jpg
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