回想3(オニイチャン)

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回想3(オニイチャン)

藤本先輩と花見をする日が決まった。 『今週の日曜日になったよー!』 美羽からメールが届いた。 心は弾んでいたけど不安もあった。 メール最後の文字 『先輩と部員二人も来る予定』 …藤本先輩とはこの数日間で 急速に仲良くなれた 先輩は昼休みにあのベンチで読書したり 音楽を聴いたり昼寝をしている たまに先輩の同級生も居たけど、 一人の方が多かった。 美羽と実里が食堂へ 飲み物を買いに行っている時 私は先輩と二人きりになった。 先輩に私は聞いた。 「先輩はどうして一人が多いんですか?」 先輩は空を見上げて黙っている (何か理由があるんだろうか…) すると目線を落とし 「考えたことなかった」 それだけ言って本を読んでいる。 本を2,3頁ほど読んだ頃だろうか、 「一人って変?」 と聞いてきた。 私は悩んだ。 (変じゃないけど寂しいかな  でも一人が好きな人もいるし…  一人になりたい時もあるし…  私は美羽や実里と常に三人だけど  美羽と友達になるまで一人だったし  それは仕方ないって…  今一人になると寂しい…  中学の時も一人が多かった…  ただ私は人が苦手だったから…)   頭の中でグルグルと考える 難しいな… 「わかりません」 その答えを聞いた先輩はにっこり笑い 私の頭に手を置いて軽くポンポンとし 「俺もわかりません」 そう言って手を頭から本へ戻す。 一人かぁ…また一つ疑問が浮かび 「先輩は親友いますか?」 先輩は真っ直ぐ見つめ優しく微笑み 私の頭を撫でながら、 内緒話をするように、 口を耳元へ寄せ 「南帆ちゃんなってくれる?」 といった先輩に少しドキドキしつつも 私は思ったままを言葉にする。 「お兄ちゃんって呼んでいいですか?」 《バサッ!》 先輩の手から本が落ちた。 その音に少し驚き先輩を見ると 顔が赤くなっている。 そして先輩の背後でジュースを手にし 口と目を大きく開いたまま放心した 親友達が立っていた。
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