回想4(ハナミ)

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來田君は携帯を片手に少し離れた所で 『親友』と話している様だった。 來田君を心配そうにチラチラと 見ながら渡辺は言った 「ごめんね。急に一人増えて」 彼は申し訳無さそうに私と美羽に言う 「いいんじゃない?人数多いほうが楽しいし  ねっ南帆?」 私は無言で頷いた。 それを見て渡辺が先輩に言った。 「でも知らなかったなぁ…  先輩の妹さんが同じ学校にいたなんて」 先輩はそれを聞いて私に視線を向ける 「うん、本当の妹じゃないよ」 渡辺は「え?」っと聞き返し 私を凝視した。 私はどう答えて良いか解らず 美羽に助けを求るように視線を送る。 そして美羽は渡辺に 「妹じゃないけど妹なのよ。この子」 それだけだった…。 渡辺君は眉間に皺を寄せて 「えっ?えっ?」 と混乱している それを先輩が怪訝な顔をして 「何?」 と渡辺を冷たく見る。すると… 「先輩の家庭って複雑だったんですね。  すみません…」 渡辺の謝る姿を見て美羽が噴出した。 そして大笑いしている。 (か、勘違いしてる~!) 見かねて私は声を搾り出すように、 彼に話し掛けた。 「私が勝手にお兄ちゃんって…  呼んでるだけで…  本当の家族じゃありません…」 と震えながら言った。 すると先輩は私を見詰めて 「南帆は俺の妹だから」 と優しい声で言う。 その二人を見て渡辺も美羽も固まっていた… タイミングよくそこへ実里が到着し 「遅くなってすみませーん!」 笑顔で手を振る姿は その場の雰囲気を吹き飛ばした。 実里に向かって美羽が一言 「ナイス」 実里は何がナイスなのか? 解らない様子だったが、 渡辺と視線が合うと 「久しぶり!」 それを聞いて美羽は実里に 「渡辺と実里って同じ中学でしょ?  なんで普段話さないのよ?」 純粋な質問だった。 困ったような顔をする渡辺君とは対照的に 平然と実里は言った 「あー元彼なのよ」 私も美羽もその言葉に驚き 私はうっとりと実里を見て言った 「実里かっこいい…」 「「「は?」」」 三人は理解に苦しむ表情をする。 そして静かに先輩が満面の笑みで 「南帆はすごくかわいいよ」 と私の頭を撫でている 美羽と実里、渡辺はそれを見て思った。 (天然アホ兄妹だな…)
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