回想4(ハナミ)

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私は実里と渡辺君を見ていた。 (渡辺君は気配りもできて優しそうだし  実里は明るくていい子だよね…  二人はお似合いだと思う…なのに…  なんで別れたんだろう…) 初めて目にする『元恋人同士』に 疑問を投げかけたい衝動に駆られる。 でもこの場で聞くことではない… 解っていても気になってしまう… それに気付いた先輩が、 私の耳元に口を近づけ 「好奇心は時に残酷」 びっくりした私は先輩を見上げると 『考えてた?』と言うかのように 首を傾げていた。 突然、美羽が手を挙げて言った。 「先輩、質問良いですか?」 お兄ちゃんは持っていた紙コップを置き 美羽の方へ向き直ると 「何?」 と笑顔で聞き返す。 「先輩って南帆が好きなんじゃないですか?」 思いがけない質問に私も他の二人も驚いた。 先輩は表情一つ変えずニッコリ微笑んで 「好きだよ」 と答え、目の前のポッキーを手に取り ポリッと音を鳴らして食べている。 四人は(えぇぇぇぇぇぇ) と叫ぶように口を開けた。 手にしたポッキーを食べ終えて、 コップを手に取りゆっくりと続けて言った。 「妹だからね」 と答える先輩に、実里が小さく呟いた。 「本当にそれだけかな」 実里が呟くと同時に來田君が戻ってきて 「来るそうです」 と渡辺の隣に腰を下ろしながら先輩に言う。 「そう」 先輩は興味ないというような声で答えた。 私は美羽が心配そうに、 実里を見ている事に気付く。 実里はそれを見て困った表情をする。 渡辺君はそんな実里を見詰めている。 なんだろうこの空気… (後で聞いてみよう…) 私は來田君へ視線を移すと目があった。 何て声を掛けようと考えながら 來田の第一印象を思い出して聞いた。 「來田君は人見知りなの?」 「なんで?」 來田君は私を見ずに冷たく 言い捨てるように聞き返す。 私は遠慮するように小さく答える。 「あまり…話さないから…」 來田君は静かに 「別に」 そう冷たく言われ・・・ 來田に疎外された気がした。 (花見に来たくなかったのかな…) 「花見嫌い?」 それを聞いた來田君は少し ウンザリした顔で私を見た。 私からフイッと視線を外し 手に持ったジュースを飲んだ。 (無視された)
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