南帆2(アレコレソレ)

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ガチャッガチャ… バタンッ!! 「ただいまん~ねぇ~起きてる?  寝てる?居るの~?」 呼び掛けるように明るい男の声。 玄関からドスドスと入ってくる音。 コンコンコココンッ! リズムを奏でるようにノックしたドアが開く。 「えぇぇぇ!いないじゃんっしかも真っ暗!」 男が残念そうに言った しかし声はまだ明るい。 南帆は男が玄関に入った時に 軽く涙を拭い 男が残念そうに言い終わると同時に 自室のドアを開け 隣の台所に立つ男に向かって一言 「おかえり、絶好調の清志さん」 男は無表情で言い返す。 「ただいま、絶不調の南帆」 男の名前は 西川清志(ニシガワキヨシ) 切れ長の二重に バランスのいい眉に目 鼻筋が通り唇は薄くも厚くも無く カラコンを常にしている瞳は 日本人だと誰も気が付かない程の 美男子だ 身長は175㎝だが 手足の長さとスタイルの良さで 見た目は180㎝にも見える 清志は無表情から一変し 眉間を寄せた そして美しい顔で南帆を睨んだ 「南帆!いくら自分が絶不調だからって  言って良い事悪い事あるよねっ!」 清志を冷たい視線で見つめ (メンドクサイ…) と思いながら 「おかえりキョウさん。」 「うんうん!ただいまっ!」 キョウは笑顔で南帆に言った 清志は…キョウは 自分の名前が大嫌いだった 理由は『ダサイ』 某有名人と似ている名前なので 小さい頃のあだ名で 良い思い出がないのだ 南帆はそれを知っていた キョウは南帆をジッと見て 今度は心配そうに言った 「また、アレ?」   「…治まったから大丈夫だよ」 「そっか…携帯鳴らしてくれたら良かったのに…」    「いいよ、コレとの付き合いは長い。  それにキョウさん彼氏…峰さんと  会ってたんでしょ?  今回は短かったから平気。」   「そう?でも…」   キョウがまた何か言おうと 口を開きかけたのを見て 南帆は笑顔で言った 「峰さんと良い事あったんでしょ?ふふふ~」 探るような視線をキョウに送り、 「何何何~?」 とからかうように肘でキョウの脇腹をつつく 「やぁ~だぁ~ぁ!  南帆す・る・ど・いっ!」 (顔に書いてる…キョウさん。) キョウの満面の笑顔を見て 南帆のアレは静まっていった
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