南帆2(アレコレソレ)

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(どう話せばいいのか…  アレが起きる理由はともかく  症状は伝えないと…驚いてしまうかも…) キョウは私を心配そうに見詰めていた。 自分から問う事もせずに 静かに私が話すのを待っている。 そんなキョウの様子を伺いながら 静かに私は切出した。 「あのね…私の症状を先に話すね。」 「うん」 「私はある事がソレと重なると症状が出るの。  悲しいよりも絶望するというか…  ソレが始まると胸が苦しくて  涙が止まらなくなって…  頭では止めなきゃって思っても  止められなくて過呼吸状態になるの」 「・・・・」 「ダメなの、ソレが始まると…ね  たぶん他人から見たら…  頭おかしいんじゃないかって…  狂ったように泣いてるの…」 「うん」 「手が震えて、目からは涙が溢れて、  叫ぶような顔で嗚咽してる…  声は出なくなって…過呼吸しながら…  唸ってる感じで…  自分の姿なんてわからないから。  見た人に聞いた話だから、  狂ったように泣いて苦しそうな姿だって…。」 自分で説明しながらも胸の奥が ギュっと痛くなる。 思い出すだけで…情けないなぁ…と、 少し鼻がツンとして目が熱くなった。 (伝えたいって言って説明できてないよ私…) 私はキョウの顔を見れなかった。 自分が説明すると言ったのにうまく説明できず ただ感情だけで話していると…。 (コレを理解してほしいなんて図々しいかも…) そう思った時、 「そっか…今まで南帆のそんな姿見なかったけど、  苦しんでたんだね。気づかなくてごめんよ。  南帆は俺を家族だと言って…っくれたのに…  く…うぅ」 キョウは泣いていた。 私の下手な説明を聞いて理解したのか わからないけど、私の心を感じたのか 胸が痛いという素振りを見て 彼に改めて言った。 「ねぇ…キョウ…こんな私でも一緒に居てくれる?」 「馬鹿だな~南帆!俺たち家族でしょ!」 キョウは顔をぐちゃぐちゃにして笑顔で言った。 「ありがと・・・・」 そして私は彼が同居人で良かったと笑顔を返した。 (ありがと…キョウに出会えて良かった…) それからしばらく手を握ったまま二人で泣いた。
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